2015年9月16日水曜日

長期山行2015~南アルプス縦走~(長尾班) 北部編

【日程】2015年8月8日~22日(前日発+10泊11日+予備日3日)
【目的】長期の縦走を体験し、各々の技術・体力の向上を図る
【山域】南アルプス
【使用地形図】甲斐駒ケ岳、仙丈ヶ岳、間ノ岳、鳳凰山、塩見岳、濃大河、赤石岳、大沢岳、上河 内、光岳、畑薙湖(1:25000)
【メンバー】長尾(2年/C.L)、岡島(2年/S.L)、關(1年)、浦木(1年)


今年の長期山行は南アルプス!!
南アルプスは交通のアクセスが不便な山が多く、学期中では登るのが日程的に厳しい山がたくさんあります。しかも百名山をたくさん抱えていることから、「これは長期で行くしかない!」と思い、計画を実行しました。
ルートは北沢峠から入り、甲斐駒を登り、仙塩尾根を通って、間ノ岳経由で北岳を目指します。そして、再び間ノ岳へ戻り、主稜線上を通って光岳まで行き、畑薙湖へ下ります。
今回の日程は停滞含め12泊13日となりました。そんな長期山行の様子を2回に分けて報告します。
まずは、三伏峠小屋までの北部編です。


[南アルプス概要]
南アルプスには10の百名山がある。鳳凰山、甲斐駒ケ岳、仙丈ヶ岳、北岳、塩見岳などは比較的交通のアクセスが便利で、1日で登れる。一方、間ノ岳、荒川岳、赤石岳、聖岳、光岳は交通のアクセスが悪い、または最寄りの登山口が遠いため、土日休みのみを使って登るのが難しい。また、一つ一つの山のアップダウンが大きい。森林限界が高いので、一つの大きい山に登ったらまた樹林帯へということはよくある。主稜線上の西側は崩壊しているところがところどころある。


[前日 8月8日]
つくば 〈電車〉 甲府 〈山梨交通・バス〉 広河原 〈南アルプス市営バス・バス〉 北沢峠

テスト、レポートをクリアし、春学期を終えた次の日から入山開始。今回はステビバ無しという珍しい行程。甲府駅からお馴染みの山梨交通のバスに乗り、広河原へ。同じ大学のもうひとつの登山サークル「山と旅の会」と広河原まで一緒になる。どうやら、白根三山に登る組と途中まで一緒で、農鳥小屋でバイトをする組がいるそう。頑張れと声援を送る。

長衛小屋にたどり着くも、よく晴れた週末ということもあり、テント場が埋め尽くされていてびっくり。小屋から結構離れた場所に幕営するしかなかった。そこはカミキリムシという黒い虫が大量発生していて、テントに入ってきたものは下界まで旅の共をすることになった。噛み付いてくるからとにかくイラついた。

長衛小屋

多すぎぃ!!



[1日目 8月9日]
長衛小屋4:00~仙水峠4:50‐5:10~駒津峰6:05‐20~甲斐駒ケ岳7:25‐50~駒津峰8:55‐9:05~仙水峠9:55~長衛小屋10:45

サブザックでアタック。荷物が少なく、非常に楽。
沢沿いの道を歩き、1回沢を渡る。そしてもう1回渡り、急坂を登ると、仙水小屋が現れる。仙水小屋を過ぎ、樹林帯を抜けると、ゴーロ帯となる。足場に注意。



岩塊斜面を抜けると仙水峠へとたどり着く。ここからご来光を拝む。写真では撮れなかったけど、ここから見る雲海は絶景だと思う。
ご来光で長期山行で気持ちのいいスタートを切る



仙水峠から今までの緩やかな道とうって変わり、樹林帯の急坂を登る。木の根元や露岩がちらほら。樹林帯、ハイマツ帯を抜けると駒津峰。素晴らしい眺望が広がっていた。
次に登る仙丈ヶ岳

目の前に迫る甲斐駒

岩場を下ると道が二手に別れるペンキが現れる。一つ目はフェイクで、二つ目が正解。これを見落としてしまって、直登ルートへ登ってしまった。途中で「あれ?おかしくね?」と思いつつも下る方が危ないのでそのまま登る。C.LとS.Lは鎖場みたいな手足使うところが大好きなので楽しむ。1年生も楽しんでたようでした。砂礫の登りがほとんどないので、巻き道ルートより楽かも。
直登ルートは、軽い装備であれば、山を数回登った人であれば、登りルートとして通れると思う。下山ルートとしてはあまりオススメしない。

今回のメイン甲斐駒ケ岳に到着!!
C.Lは三回目に登頂にして初の晴れ、しかも雲ひとつない快晴でした!!
ずっとここにいたいと思った←



雲海もとても綺麗です。

最高の景色を惜しみつつ、下山開始。下りは巻き道ルート。砂礫は滑らないように注意。ツアーの人たちがたくさん登ってきて、すれ違うのが大変でした。

早くテン場に着きすぎて暇そう。
この日はキャベツと一緒に炒めた生姜焼き!!



[2日目 8月10日]
長衛小屋3:05~二合目3:35~大滝ノ頭4:45~小仙丈ヶ岳6:05‐20~仙丈ヶ岳7:40‐8:15~大仙丈ヶ岳8:45‐55~2755付近10:00‐15~伊那荒倉岳11:37~高望池11:50‐12:00~独標12:35~横川岳13:30‐13:35~野呂川越14:00‐10~両俣小屋14:55

この日は行動時間が長いため、2時起き。ワンゲルではレアなチキンラーメンが朝食。外に出ると星がたくさん出ていて高まる。
この日から一段重たいザックを持って行動することになる。これはある意味長期の醍醐味と言っていいだろう。

真っ暗な中樹林帯の登り。二合目からは坂が急に。樹林帯で朝を迎える。登山道が尾根の南側になり、仙丈の登りで一番急な坂を登りきると平坦になる。すぐに大滝の頭となる。
分岐を小仙丈ヶ岳を経由するルートへ行く。徐々に森林限界へと近づくにつれて、どんな景色が広がっているのかだんだん楽しみになっていく。森林限界を抜けたときは感動したね。

小仙丈ヶ岳

カール地形美しいと思う。

C.Lは右膝に違和感を感じたので、足のつりに効くという芍薬甘草湯を飲んでおく。
ここからは広々としたハイマツ帯を歩く。朝露は気にならなかった。偽ピークを過ぎて、C.Lの足の違和感がますます強まる。ここから地獄だった。1回足をつり、仙丈ヶ岳頂上直下でも足をつってのたうちまわった。通りすがりのおばさんから「ファイト!」とカツを入れられる。本当、いくら鍛えてもすごく重い荷物を担ぐ山行の一日目は必ず足がつるの勘弁して欲しい(´Д`;)

そんなこんなもあり、ようやく仙丈ヶ岳にたどり着く。頂上は360度の絶景。

小原班も混じり、集合写真

日本のNo.1、No.2、No.3のスリーショット

頂上でわいわいした後、ついに仙塩尾根に入る。ここからは熊の目撃情報があり、熊鈴必須。

仙塩尾根
大仙丈ヶ岳。ここも眺望がいいです。

大仙丈ヶ岳からの下りは一段と急になる。途中で砂礫となり、滑りやすいところがあった。2776のピークを過ぎると、背の高いハイマツ帯となり、樹林帯へと入る。ここからは小さいピークの登り下りの繰り返し。伊那荒倉岳は樹林で囲まれ、眺望はない。がっかりピーク。
伊那荒倉岳から下ると高望池になるが、池の水は枯れている。ここからのアップダウンは足に爆弾を抱えているC.Lにとって地味にきつかった。2499mの独標は眺望が開けており、久々の絶景を見る。横川岳への登りが最後の難関だった。
横川岳頂上は眺望がない。標高を示す看板は1968mと表示しており、実際の高さと比べて標高差が500mも違う。せめて交換しようよ(^_^;)
横川岳から南西側の尾根に入らないように注意と調べた段階であったが、ロープで塞がれていたので、間違えることはないかな?

何故2000m以下?


横川岳を過ぎると、木々が登山道を邪魔してくる。野呂川越から両俣小屋への下りは倒木が沢山有り、またがったりして、歩きづらい。道が平坦になり、沢沿いを少し歩くと両俣小屋が見える。嬉しかった。

みんな1000m登って、また1000m下るという日程が一番辛かったと言っている。
小原は仙塩尾根を北アの船窪みたいと言っていた。わかる人にはわかる辛さ。

両俣小屋はdocomo、auは通じなかった。長衛小屋とは対照的にテントが少なかった。快適。また、ゴミが捨てられるという山小屋。登山者にとってはとても嬉しいヾ(*´∀`*)ノ だから熊が出るわけか... テントで泊まる人は寝るとき食料を外に出さないように注意。

この日の夕食はカレー。こんなに頑張ったし、さぞかし美味しいんだろうなと思っていたが、前日に日が当たる中食材を放置していたため、野菜が腐っていた・゜・(ノД`)・゜・
米を多く炊き、おかずはウィンナーだけでなんとか乗り切る。ゴミが捨てられるところで本当によかった。
去年の長期はずっと雨だったため、食材管理が疎かになっていた。反省。


[3日目 8月11日]
天気:晴れのち曇り
両俣小屋4:20~野呂川越5:05‐5:15~三峰岳9:10‐20~間ノ岳10:15‐35~北岳山荘12:25

間ノ岳経由で北岳山荘を目指す。左俣コースで北岳へ直登で行けるが、このコースは数年前の台風被害以来、整備されておらず、ほぼバリエーションルート化しているそうなので、計画時から間ノ岳経由で目指すことを決めていた。なお、ちょうど登っていた時期に左俣コースで滑落による死亡事故が起きていたそうです。

メンバーは前日の疲れが残っているためか、出発に遅れる。2日連続で、間ノ岳までフル装備で標高差1000m以上の登り。野呂川越までの登りはやはり、倒木が気になった。先頭のワンゲルの女帝が良いペースでどんどん登って行く。

野呂川越からは再び仙塩尾根を行く。樹林帯の中を登って行く。途中で小さいピークをいくつか踏む。途中で鎖場があるが、それほど気にはならない。森林限界を超えると背の高いハイマツ帯をしばらく歩く。たまにハイマツをかき分けることも。ハイマツ帯はブヨがたくさんいて、C.Lは噛まれてしまいました。(T_T)



ハイマツ帯を抜けると道が岩と礫だらけになる。尾根の東側を登っていくと三峰岳頂上直下まであと少し。三峰岳直下の分岐に立つと塩見岳、農鳥岳をはじめとし、多くの山々が見えました。

塩見岳

間ノ岳

三峰岳直下で長めの休憩をとっていると、カメラを持った一人の若い男性がどこからかやって来た。「今長期で南アルプス縦走しています」といった会話を繰り広げる。まさかこの男性がこれからの日程で関わってくるとは知る由もなかった。菜穂ちゃんはヒゲが生えているのをみて「ええわ~」と推していた。

あと少しの登りということで、力を振り絞り、間ノ岳へ。岩がゴツゴツとした登り。気お付けて歩けば問題ない。仙塩尾根と比べて緩やかで快適な稜線歩きだった。
やっとのことで、日本のNo.3間ノ岳に登頂する、一部はガスっていて、眺望はあまり良くなかった。明日も登るので、明日晴れることを祈る。
間ノ岳までの登り

班で集合写真

某ガイドブックでは間ノ岳から快適な稜線歩きとあるが、荷物重いし、ちょっとガスっていたから快適とは感じなかった。あと、人通りが多く、すれ違いが多々あった。
岩場の稜線歩きで少し慎重に行く。中白根山までにちょっとした小ピークがあり、広々としているので休める。眺望がない中白根山をスルーして、ジグザグとした急坂を下っていく。ガスの切れ間から北岳山荘が見えたが、着いたのは20分後だった。

北岳山荘は結構整備されていて、トイレが冷蔵庫みたいで面白かった。水は往復90分するところからポンプで汲み上げているみたいなので、無駄遣いはよしたほうがいい。携帯は、docomoとauが使えた。

一年生は相当疲れきっていたみたいで、英気を養うために、カップ麺、お菓子を奢ってあげた。幸せそうだった。

[4日目 8月12日]
天気:曇りのち晴れ
北岳山荘4:30~北岳5:18‐30~北岳山荘6:15‐45~間ノ岳8:20‐35~三峰岳8:55‐9:15~熊ノ平小屋10:25

起きたらガスっておらず、晴れが期待できそうだった。サブザックで北岳へ登る。足場が不安定な場所もあったので、注意しながら行く。
北岳からは朝焼けや富士山がを拝めた。再び北岳山荘に戻る。





テントを撤収して間ノ岳へ向かう。中白根山へは急登となる。間ノ岳は前日とは違い、晴れだった。


間ノ岳

北岳を振り返る




間ノ岳頂上。

間ノ岳からはガレ場の下り。登りとは違いちょっと怖かった。踏み外すとヤバそうなところが何箇所かあった。三峰岳へは岩場を登るとあともう少し。

For 三峰岳

三峰岳からは痩せ尾根となる。今回の山行で一番怖いと感じたところだった。しばらく降りていくと。尾根が広くなり、気持ちの良い稜線歩きとなる。


痩せ尾根
塩見岳、奥に荒川岳が見えます

熊ノ平の分岐を過ぎると、樹林帯へ入る。お花畑が見えると、下の方に熊ノ平小屋が見える。東側に崩壊している崩壊地を過ぎると熊ノ平小屋。

小屋は、人気がなく、情緒ある雰囲気でした。天気が良いと小屋から農鳥岳が見えます。水場が豊富なところで、小屋の敷地にいくつもの水場がある。最も水が豊富に出ている水場はトイレの奥の方にある。テント場はいくつもの場所があり、景色のいい場所や樹林帯の中と自由に選べる。携帯の電波は、前述の崩壊地付近でdocomo、auが使える。


[5日目 8月13日]
天気:雨
前日に得た天気予報が強風・強い雨となっていたた。そのため、次の幕営予定地の三伏峠小屋まで9時間の長時間行程であること、塩見小屋が改装中で避難小屋として使えないこと、2,3日目が1000mの登りというハードな日程が続き、メンバーに疲労の色が見えたのでこの日は停滞することにした。
午前中、男性陣はトランプで盛り上がった。午後には雨はやんだ。C.Lは停滞していたテント泊のおじさんと会話に夢中になり、C.Lが失踪したというプチ騒動を起こした。


[6日目 8月14日]
天気:霧
熊ノ平小屋3:20~竜尾見晴4:45~北俣岳分岐7:05~塩見岳東峰7:40‐50~塩見小屋9:00‐20~本谷山11:00~三伏山11:55~三伏峠小屋12:10

行動時間が長いため、朝早くに出発。朝露のついた樹林帯の中を歩くため、せめて雨具のパンツを着用することを進める。
まずはじめに開けるのは竜尾見晴。まだ暗かったためスルー。北荒川岳付近は礫地を歩くので、高山感覚。でもガスってて何も見えなかった。北荒川岳まではアップダウンが少なく、歩きやすかった。北荒川岳からは西側に崩壊した稜線を行き、ハイマツ帯に入る。
北俣岳分岐からは狭い稜線歩きとなり、塩見岳東峰にたどり着く。

北荒川岳付近。雨でもテンション高い人が・・・

百名山は晴れて欲しいよ・・・

ガスって何も見えなかったわクソ。

塩見岳製法からは急な岩場の下りとなる。ガスで濡れており、浮き石もあるので慎重に行く。
岩場の下りが緩やかになったところで、急遽サプライズ隊を引き受けてくれたライ君と遭遇!!
高校時代の友人と一緒に山に登るついでとは言っていたが、それに塩見岳北岳縦走にしてくれたことにライ君の気遣いが感じられる。本当にありがとう( ;∀;)
美味しいみかん、きゅうりを頂きました。

塩見岳の下り

サプライズ隊

ハイマツ帯に入ると塩見小屋。ここでは小屋のお姉さんと強烈な出会いをする。
今年の長期を語る上では塩見小屋のお姉さんと某登山ショップのSさんの2人の女性が欠かせない。

しばらく下っていくと樹林帯に入る。アップダウンはそれなりにあるが、さほどキツくない。歩きやすい道が続きます。本谷山は樹林で囲まれており、眺望はない。最後の登りである三伏山は背の低いハイマツ帯が広がり、天気が良いと景色も良いんだろうなと思いながら通り過ぎる。三伏峠の分岐に下り、階段を登っていくと三伏峠小屋が待っている。

本谷山頂上


三伏峠小屋は登山口からのアクセスがいいためか、沢山のテントが張っていた。docomoとauの電波が通じる。水は小屋から15分ほど東に行ったところにある。そこでなんと三峰岳でお会いした若い男性と会う。どうやら17泊の行程で南アルプスの山々、主尾根を制覇するそうだ。お互いに頑張ろうと誓い合った。

三伏峠小屋

水場行く途中でガスがとれた塩見岳を拝む


ここでは菜穂ちゃんのご両親も来ており、オレンジ、梨といった、長期山行中ではなかなか食べられない果物、そして、チャーシューなど沢山いただいた。感謝で頭が上がらない。
この日の晩御飯はとても豪勢でした。

ライ君と菜穂ちゃんのご両親からもらったもので夕食がすごい豪華に

以上で北部編は終わりです。行程的にツライ日が多かったけれども、晴れた日が多くて、頂上に登れば、素晴らしい景色が広がり、達成感を味わえました。
そして南部編に続きます。






















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