2018年9月12日水曜日

2018/8/26~28 台湾山行「はるかなる聖陵線」 part1 入山まで

~序章~
あなたは、台湾というと何をイメージするだろうか。
真っ先に山を思い浮かべる人はごくわずかだろう。
しかし、そこには、日本とは全く違った高山帯が広がっているのだ。
台湾登山のシンボルはなんと行っても最高峰「玉山(3952m)」だろう。しかし、ここは抽選に通らないと入山できないうえ”あまりにも俗化している”と思った。

そう、人の匂いがあまりしない登山をしたいのだ。
日本では、夏場ならもう沢くらいしか残っていないだろう。
しかし、台湾では一般登山道でもまだまだ残っているのだ。
特に今回目指した「聖陵線」は台湾の山岳の中でも距離が長く、難易度が高いので人影もまばらである。実際、「聖陵線」の真っ只中にある「覇南小屋」は我々のほか誰も予約していなかった(台湾では無人の山小屋からキャンプサイトまですべて予約制)。
「聖陵線」の魅力はなにか。1927年に聖陵線の起点、大覇尖山に登頂した沼井鉄太郎氏の言葉を借りたい。
”・・・この神聖なる稜線よ!
誰が本当に大覇尖山から雪山へ縦走をし、
勝利の栄冠を戴いて、
初めてこの美しい登山を完成できるのだろうか?"
※雪山:台湾第二の高峰3886m。
これが聖陵線と呼ばれる所以となった文章らしい(中国語と英語から気合で翻訳したので少しおかしなことになっているが、愛嬌で)。
ここについて調べれば調べるほど引き込まれ、ついに3人のメンバーとともにここに行く決意をした。
左が大覇尖山。この奥のほうが聖陵線

日程:2018/8/25~9/2(入山は8/26~8/30)
メンバー:新堀(C.L./文責)、木村(S.L.)、岡本
パート1では入山まで、パート2で入山中の情報を書き留めます。

~準備~

※2019年5月にも再挑戦を目指しており、その際判明したことを追記しておきます。(2019/4/6 新堀)

今年3月、下見を兼ねて台湾に飛んだ。
苗栗の山ん中に雪覇国家公園(このエリアを管轄する国立公園)のビジターセンターがある。ここで地形や生態系の特徴をしり、さらに本屋で聖陵線の写真集を買った。
僕は台湾の友人ずたいに、台湾の登山地図を手に入れていたが、台北の登山用品店(登山友が有名)などで販売している。
また、現地の知り合いは必須である。玉山ならば必要ないが、それ以外の場合は現地の留守人の設置が必要だ。また、積雪期などは現地人のガイドの同行を推奨している。
ちなみに、我々は、中国からの留学生で台湾に留学経験のあるカイルの友人の台湾人の方に現地コーディネーターとして協力していただいた(推奨)。
この辺は山域によっても変わってくることがあるので、よく調べてほしい。
また、現地の山岳会などに問い合わせてみてもいいのではないだろうか。
(1)山の情報を知る。
国家公園のHPによくまとめられている。しかも、日本語に対応している。
雪覇国家公園(雪山など)
太魯閣国家公園(南湖大山など)
玉山国家公園(玉山など)
さらに行きたい山域が決まったら個人ブログを読むと良い。
この際、googleなどでは、設定から日本語以外の言語でも検索できるようになっている。中国語(繁体字)に設定して検索すればバッチリである。
もし本がほしいなら、ネット経由で買うこともできる。この際日本人著者の本は基本翻訳本であるから注意が必要。

(2)登山用の地図を手に入れる。
行動時間の目安はここを参考にすれば良い。
その地名がどこにあるかわからなければググれば良い。
地形図はこちらのサイトからダウンロードできる。ダウンロード方法は休学中の記録というサイトに記載されている。
しかし、やはり登山地図はあったほうが便利だと思うあなたは、お買い求めを。ネット経由だと結構めんどくさいので、現地調達がよいと思う。
水場情報は、基本小屋になりますので、各国家公園のページや個人ブログで確認。また、危険地帯の情報は、やはり、個人ブログが参考になると思うが、直接国家公園に問い合わせるのも良い。英語にバッチリ対応している。
雪覇国家公園の地図:引用元
聖陵線の概念図:引用元

(3)申請する。
玉山国家公園の場合は、三ヶ月前、ほかは一ヶ月前から申請できる。小屋や幕営地の収容人数となった時点で締切終了(玉山は抽選)。
「登山最終日の○ヶ月前」となる(連泊の場合、1泊目の小屋は1ヶ月前ちょうどに申し込んだ人に比べ出遅れるわけだが、そのへんの不公平はないよに設定されている。)。
さて、これは完全にあちらのシステムの都合だと思うが、山行最終日の○ヶ月前の0:00(JST)になると、その日付で申請書をかけるようになる。
これが提出できるのは8:00(JST)となるので、予め書いておいて、朝イチで提出すればまず先着落ちすることはない。
玉山国家公園は日本語/英語/中国語(繁体字)、その他は、英語/中国語(繁体字)で申請可能である。
このページに「依規檢附登山經驗證明」と書いてあるものは、登山経験を示す物が必要。夏山であれば、日本のある程度以上の冬山経験とある程度の長期縦走経験を写真付きで示せれば大丈夫だと思う。僕は、「冬季/甲斐駒戸台ルート」「夏季/南アルプス縦走(自分の班のブログは未upなので他班のものを)」「クライミング/北岳バットレス」などを写真とルート図付きで丁寧に示した。
2019/4/6追記:登山経験の添付は不要になりました。
聖稜線は台湾夏山最高グレードのC+級ですが、国家公園に問い合わせたところ
On experimental stage,self-responsibility for risk. You still need grade C experience for holy ridge trail, however there is no need to submit your experience proves.
とのことでした。追記おわり

ここから、入山する国家公園を選び、空いているチェックボックスにチェックを入れて、「我同意」をクリックすれば、申請フォームに飛ぶ。文章は、よく読んで、リンクは必ず踏んで確認したほうが良い。
(a)行程
このような感じで必要事項を記入していく。
隊名:なんでもいい
登山路線:自由に行けるわけではない。いくつかの中から選ぶ。自由に行きたい場合は其他路線を選ぶ。
路線規劃:下のようなホップアップから地点を順番に選ぶ
完成今日路線:明日に進む、辺回・・:一個戻す、重新・・:全部消す
赤枠のところは何も書かない
登山經驗證明上傳:依規檢附登山經驗證明のルートでは必要。横のリンクをクリックして、作成した登山経験を示すものをアップロードする。「新増」から新しいファイルをアップロード。
(b)申請人
ここに書いてあるとおり。
電話番号に+81など入れずに普通に書くこと。
2019/4/6追記:国際番号(+81~~)で書きましょう。問い合わせたところ、
Phone number +81312345678   is fine.
とこのとでした。追記終わり。
(c)領隊
パーティーリーダーのこと。
申請人と同じならば、同申請人にチェックを入れるだけ。
違う場合は個人情報を記入のこと。
(d)隊
メンバーリスト。
チェックを入れ、ホップアップをyesにし、個人情報を書く。
(e)留守人
ここは現地の人の情報を入れること。
ここまで記入したら、驗證碼のところに右の数字を入れて「検査格式」をクリック。問題なければ、「儲存草稿」をクリック。今度呼び出すには左側の「草稿查詢」からできる。
時間になったら、「確認送出」で国家公園への申請は完了。

このあと、何日かして「國家公園申請入園通知」というタイトルのメールが来る(たいてい1通めは申請確認で2通目が申請完了)。
申請完了のメールの【申請進度查詢/入山資料傳送/許可證列印】の横のリンクから入園証をインストールし2部印刷する。
更に、入山証とあるボタンをクリックし、数日後、警察から入山申請が来るので、これも2部印刷し現地に持っていく。

保険について
我々は、クラブで日山協の山岳保険に入っているので、これの追加プランで海外登山があるのでそれを利用した。1万円弱。

便利なアプリについて
雪覇に行くなら、雪覇登山ARというアプリが便利。現在地の把握と安否情報のSMS(位置情報つき)送信ができる。SMSは台湾の番号向け限定のようだ。
また、これで電波が入るとある場所でもあまり入らない。
観霧周辺や九九山荘、主要なピークなどは入るように感じたので、こういうタイミングで、台湾の留守人にSMSを送ると良い。ちなみにアプリ上の電波情報はあまり当てにならない。

携帯について
wifi契約ではsmsが送れないので、simロックを解除して、現地でsimを借りるのが良い。
simフリーフォンでdocomo系を使っている場合、simがロックされている事があるようなので、大手キャリア以外でもsimロックを解除しておいたほうが良い。
simは中華電信が良いと思う。

遭難時の連絡
基本的には携帯。
無線機を持っていれば無線でもできる。この場合周波数は決まっていて、
145.00-國際SOS救難
148.74-中華民國山難互助協會
148.77-警政署
148.75-保安
となっているようだ。使ってないのでよくわからない。

パート2に続く

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